蓄電技術の進化が急速にすすんでいる

電力を蓄える技術は、再生可能エネルギーの伸張とともに一層重要になっている。原発とセットで導入された揚水発電所が、今では自然エネルギーのピーク電力吸収にも活用されている。さらには、ナトリウムと硫黄によるNAS蓄電池などが実用レベルで運用され初めている。右は、東北電力の南相馬蓄電所(上)と、九州電力の豊前蓄電地変電所(下)の外観写真によるコラージュ。

下表は、2018年11月の資源エネルギー庁資料から。表全体は→揚水式水力の揚水動力等

この資料を見ると、東北電力と九州電力では揚水発電だけでなく、蓄電池が使われている。

九州電力の豊前蓄電池変電所は、NAS電池で30万キロワットアワーの容量がある。6時間運用とあるから出力は5万キロワット。やはり、資料もそうなっている。下記の別紙資料にある写真も非常にコンパクトだ。
160303豊前蓄電池変電所の運用開始について
160303豊前蓄電池変電所(別紙資料)

四国では本川揚水発電所が、30万キロワットと31.5万キロワットの計61.5万キロワットの出力をもつ。7年をかけた大事業で、伊方2号機の運転開始から間もない1982年6月、運転を開始した。今では、太陽光発電などのピーク時にも水をくみ上げておいて、685mの落差で発電する。上池の稲村ダムは四国唯一のロックフィルダム。直径6mの導水菅は山中をくり抜いて敷設され、発電所も地下に巨大な空間をつくって建設された。ダムを使うだけに、降雨予測に合わせて調整し、時には無人の上池ダムに職員を派遣する。10分で発電に至る「敏感性」があるが、非常に緻密な起動手順もあるようだ。

ますます、蓄電容量を増やすことが求められていると思う。大規模な揚水発電所をつくるとすれば、たいへんな事業になるだろう。それに比べて、NAS蓄電池などを使った変電所の資料を見ると、起動の対応時間は極めて短く、メンテナンスも揚水発電に比べて遙かに少ないようだ。

やはり、今後は蓄電池による設備が急速に広がるのではないか。いや、既に急速に広がる段階に達しているのではないか。国の政策が、むしろこれを押しとどめているようにさえ感じる。